京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学

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臨床研究グループ

諫田 淳也(講師)、水本 智咲(特定病院助教)、新井 康之(検査部・細胞療法センター 病 院講師)、竹田 淳恵(特定病院助教)、渡邊 瑞希(特定病院助教)、岩﨑 惇(医員)、 岡 知美(遺伝子診療部・医員)、林 裕美(大学院生)、近藤 忠一(非常勤講師)、 恩田 佳幸(客員研究員)、岡 恵(移植コーディネーター)、奥田 智子(CRC)、 波多江 美絵子(CRC)、木村 直子(CRC)、相見 優(CRC)、藤田 美紀子(CRC)、 中根 華子(CRC)、清水 義仁(技術補佐員)、奥中 桃子(技術補佐員)、 谷村 美佳(技術補佐員)、平田 由加里(技術補佐員)、細川 聖子(医師クラーク)、
槙尾 舞(医師クラーク)

当研究室では全国あるいは京都大学関連病院との多施設共同臨床研究の企画・推進や、臨床関係のデータベースの構築、臨床検体の集積・保存システムの構築、造血幹細胞移植の情報管理・研究を行っています。2020年度からは京都府の造血幹細胞移植推進地域拠点病院に指定されています。

 多施設共同臨床研究のため,京都大学の関連病院による研究グループ KHSG(Kyoto Hematology Study Group)を2012年に立ち上げ、さらには、より造血幹細胞移植に特化した研究グループKSCTG(Kyoto Stem Cell Transplantation Group)を2016年に設立しました。このグループにより現在まで、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、造血幹細胞移植に関して、介入試験や患者検体を用いた研究等、様々な臨床試験を実施しております(Ann Hematol. 2023, Transplant Cell Ther. 2023, Hematology. 2022, Bone Marrow Transplant. 2022, Transplantation. 2022, Blood Adv. 2022, Sci Rep. 2020, Biol Blood Marrow Transplant. 2020, Blood Adv. 2020, Ann Hematol. 2019)。また京都大学腫瘍生物学講座と共同研究を行い、変異の組み合わせや、コピー数異常が予後に与える影響や、genotype-phenotype relationshipについて研究しております。2014年からは当院、倉敷中央病院、同志社女子大学との共同研究として、「造血器悪性腫瘍における用量調整静注ブスルファン(一日4回投与)を含む前処置を用いた同種造血幹細胞移植の有用性の検討」の臨床試験(研究責任医師:近藤)を実施し、論文化いたしました(Ann Hematol. 2023)。引き続いて2020年からは特定臨床研究として、ブスルファン一日1回投与について同様の多施設共同研究を開始しています(研究責任医師:諫田)。

院内における単施設でのさまざまな疫学的研究にも取り組み、多くの論文を発表しています。当院では優れた他科との共同研究ができる点も魅力であり、検査部・細胞療法センター、小児科、呼吸器外科、呼吸器内科、消化器内科、検査部、薬剤部、感染制御部、リハビリテーション部、栄養管理部、放射線治療部、放射線診断科、医療情報学講座・診療報酬センターなどとも共同研究を推進しております。

さらに、多くの若手医師と共に日本造血・免疫細胞療法学会のワーキンググループ(WG)に参加し、多くの学会発表、論文報告を行い、日本の造血細胞移植医療の発展に貢献しています。成人ALL-WGとGVHD-WGでは、それぞれ新井と諫田がWG責任者に任命されています。また、本学会として初めての産学共同研究(FLT3遺伝子変異を有するAML再発又は難治性の急性骨髄性白血病患者における、ギルテリチニブが同種造血幹細胞移植後成績に及ぼす影響に関する観察研究)においては、新井が研究代表者を、2つ目の産学共同研究(日本における同種造血幹細胞移植後移植片対宿主病(GVHD)のリアルワールドデータベース研究:移植登録一元管理プログラムデータベース解析研究)においては、諫田が研究代表者を務めています。また、本邦のデータだけではなく、米国(諫田・新井)や欧州(諫田)のレジストリーデータを用いた国際共同研究も積極的に行っております(業績)。 その他、日本造血・免疫細胞療法学会主導臨床研究「GVHD予防法に抗ヒト胸腺細胞免疫グロブリンを用いたGVH方向HLA一抗原不適合血縁者からの造血幹細胞移植療法の多施設共同第II相試験」では諫田が主任研究者を務めるとともに、当研究室が研究事務局として研究を主導し、論文報告を行いました(Cell Transplant. 2020)。さらに、新規学会主導臨床研究「非血縁者間骨髄移植における抗ヒト胸腺細胞免疫グロブリンの無作為割付試験」も同様の体制で臨床試験を実施中です。

上記の他に、日本全国の多施設共同臨床試験である、日本成人白血病治療共同研究グループ(JALSG)、日本細胞移植研究会(JSCT)、FN研究会や、関西ミエローマフォーラム(KMF)にも参画しております。欧州造血細胞移植学会(EBMT)、欧州臍帯血研究組織(Eurocord)、米国造血細胞移植学会(ASBMT)とも共同研究を推進しております。また、血液がんゲノム医療の開始を見据えて、院内外の整備を行うと同時に、当学腫瘍生物学講座との共同研究として、造血器腫瘍の検体収集およびターゲットシーケンスによる遺伝子変異結果の臨床現場への還元も日常的に行っています。各施設から送付いただいた造血器腫瘍の検体を適切に保存し、検体に紐づく臨床情報も収集、そして結果を返却する検体管理Webシステムを確立しています。また、ターゲットシーケンスにより同定された遺伝性白血病やその他の二次的所見に関して、遺伝子診療部とともに、結果開示に取り組むと同時に、血液内科医の臨床遺伝専門医の資格取得の支援も行っています。

臨床研究に関心のある大学院生,さらに医員として入局いただいた先生方には,臨床研究のプロジェクトに参加いただき,臨床研究に関する教育も行っております。今後もグループによる臨床研究を発展させていきたいと考えています。

当科で行っている臨床試験についてはこちらのページをご覧ください。

2015年の業績(抜粋)

  • Nishikori M, Kitano T, Kobayashi M, Hishizawa M, Kitawaki T, Kondo T, Yamashita K, Kawabata H, Kadowaki N, Takei Y, Haga H, Takaori-Kondo A. Increased number of peripheral CD8+ T cells but not eosinophils is associated with late-onset skin reactions caused by bendamustine. Int J Hematol. 102(1): 53-8, 2015.
  • Arai Y, Takeda J, Aoki K, Kondo T, Takahashi S, Onishi Y, Ozawa Y, Aotsuka N, Kouzai Y, Nakamae H, Ota S, Nakaseko C, Yamaguchi H, Kato K, Atsuta Y, Takami A; AML and MDS Working Group of the Japan Society for Hematopoietic Cell Transplantation. Efficiency of high-dose cytarabine added to CY/TBI in cord blood transplantation for myeloid malignancy. Blood. 2015 Jul 16;126(3):415-22.
  • Aoki T, Suzuki R, Kuwatsuka Y, Kako S, Fujimoto K, Taguchi J, Kondo T, Ohata K, Ito T, Kamoda Y, Fukuda T, Ichinohe T, Takeuchi K, Izutsu K, Suzumiya J. Long-term survival following autologous and allogeneic stem cell transplantation for blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm: A retrospective registry study from the Japan Society for Hematopoietic Cell Transplantation. Blood. 125(23): 3559-62, 2015.
  • Arai Y, Kondo T, Kitano T, Hishizawa M, Yamashita K, Kadowaki N, Yamamoto T, Yano I, Matsubara K, Takaori-Kondo A. Monitoring mycophenol ate mofetil is necessary for the effective prophylaxis of acute graft versus host disease after cord blood transplantation. Bone Marrow Transplant. 50(2): 312-4, 2015
  • Arai Y, Aoki K, Takeda J, Kondo T, Eto T, Ota S, Hashimoto H, Fukuda T, Ozawa Y, Kanda Y, Kato C, Kurokawa M, Iwato K, Onizuka M, Ichinohe T, Atsuta Y and Takami A. Clinical significance of high-dose cytarabine added to cyclophosphamide/total-body irradiation in bone marrow or peripheral blood stem cell transplantation for myeloid malignancy. J Hematol and Oncol. 4;8;102, 2015.