京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学

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対象となる疾患

診療について

高折 晃史

血液・腫瘍内科では、造血器悪性腫瘍を中心に、以下のような疾患の診療をおこなっています。

  • 急性骨髄性白血病
  • 急性リンパ性白血病
  • 悪性リンパ腫
    • ホジキンリンパ腫
    • 非ホジキンリンパ腫
    • 成人T細胞白血病
  • 多発性骨髄腫
  • 慢性骨髄性白血病
  • 骨髄増殖性疾患
  • 骨髄異形成症候群
  • 再生不良性貧血
  • 自己免疫性溶血性貧血
  • 巨赤芽球性貧血
  • 特発性血小板減少性紫斑病
  • キャッスルマン病
  • HIV感染症

治療法

治療法

急性白血病や悪性リンパ腫などの悪性腫瘍は、複数の抗がん剤を組みあわせた化学療法が治療の中心になります。

使用する治療のレジメンは、これまでの臨床試験による科学的根拠に基づいたものを原則としていますが、臨床研究としての治療も行っています。

放射線治療を組み入れる場合には、放射線科と連携して治療スケジュールを立てていきます。悪性リンパ腫の外来治療は外来化学療法部と連携して実施しています。

造血幹細胞移植は、自家および同種いずれもおこなっており、同種移植では血縁者間の移植のみならず、骨髄移植推進財団(骨髄バンク)を介した非血縁者間骨髄移植、臍帯血移植にも対応可能です。

慢性骨髄性白血病や多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などに対する新規薬剤も積極的に取り入れています。

造血幹細胞移植

通常の化学療法で完治が望めない血液腫瘍や再生不良性貧血などの骨髄不全疾患を中心に造血幹細胞移植を行っています。造血幹細胞移植については、骨髄移植・末梢血幹細胞移植・臍帯血移植・HLA 半合致移植・自家末梢血幹細胞移植を、患者さんの状況に合わせ、最適と考えられる方法を速やかに選択します。どの移植方法でも対応可能です。また、日本造血・免疫細胞療法学会認定の移植コーディネーター(HCTC)を配置し、倫理性を確保した上で、迅速かつ安心して移植治療を受けていただける体制を整えています。関連病院から紹介いただいた患者様の移植治療も行っており、適切に移植が実施できるように、紹介元の先生方と密に連携をとっています。 現在、当院では年間約35-40件程度の造血幹細胞移植を行っています。具体的な移植件数につきましては、「診療実績」に掲載の造血幹細胞移植統計をご覧ください。

当科は、病棟全体が無菌管理されているため、治療により白血球数が減少した患者様でも、患者さんは治療中でも廊下を歩くことができ、比較的制約の少ない生活を送ることができます。そのため、移植後においても積極的なリハビリが実施できることが魅力です。同種造血幹細胞移植はNASA規格クラス100あるいは1000の個室を使用します(クラスの数字が少ないほど空気の清浄度が高い)。

さまざまな合併症のリスクを有する造血幹細胞移植を安全に行うには、チーム医療体制が非常に大切です。血液疾患に精通した看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床心理士、理学療法士、管理栄養士など、さまざまな専門職が連携し、患者様を多方面から支えるチーム医療を実践しています。

最先端の治療を提供する一方で、移植後の長期的な健康管理にも力を入れており、治療終了後は長期フォローアップ外来(LTFU外来)/ワクチン外来も開設し、担当医師が診察を行い、晩期合併症の早期発見やワクチン接種などを行っています。また、現在、退院後のリハビリ、栄養指導も検討中です。 さらに、日本造血・免疫細胞療法学会認定のLTFU外来看護師が、患者様への健康教育や生活指導などを通じて、患者様の自己管理能力を支えるため継続的なサポートを提供しています。

また、当院は厚生労働量が進める造血幹細胞移植医療体制整備事業において、近畿ブロックにおける「造血幹細胞移植推進地域拠点病院」に制定されています。拠点病院である当院ではすべての移植法が実施可能であり、患者様の状態に合わせた最適な治療を行うことが可能です。さらに造血幹細胞移植に関わる医療者に向けたセミナー等も開催し、地域の医療従事者に対する造血幹細胞移植医療の啓蒙活動を行っています。また、移植後も患者さんが質の高い生活が送れるように、地域病院との連携を密に行い、安心して治療を継続し社会に復帰できる環境づくりを支援しています。

当院での造血幹細胞移植を希望される場合は、紹介状を作成の上、地域連携を介して、移植責任医師の諫田淳也までご紹介ください。