京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学

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同種臍帯⾎移植後HHV-6 再活性化の認知機能と⽣活の質に与える影響に関する前向き観察研究(HHV6)

研究課題名 同種臍帯⾎移植後HHV-6 再活性化の認知機能と⽣活の質に与える影響に関する前向き観察研究(HHV6)
研究責任者 近藤 忠一
医の倫理委員会承認番号
(承認日)
R1762(2018年11月2日承認)
研究期間 2018年11月2日より2021年12月31日まで
研究計画の改定と
医の倫理委員会承認時期
改定なし
研究目的 移植後HHV-6 再活性化が明確なHHV-6 脳炎発症例以外で,潜在的な中枢神経障害を来し,認知機能障害,QOL 低下の関連性について,特にHHV-6再活性化が⾼頻度で,HHV-6 による中枢神経障害リスクが⾼い臍帯⾎移植症例を対象とし,移植後HHV-6 再活性化とせん妄との時間的関連性,移植後HHV-6 再活性化の経験と移植後70⽇,1年における注意集中⼒,QOL 低下との関連性について検討する。
研究概要 ヒトヘルペスウイルス 6 (human herpesvirus 6: HHV-6) はβヘルペスウイルス亜科に属し, 人において唯一脳に潜伏感染しているウイルスである。同種造血細胞移植後のHHV-6の再活性化は移植患者の 30%-70%に認められ,これは移植後 2-6 週目に集中する 。臍帯血移植は HHV-6 再 活性化の高危険群である 。HHV-6 の再活性化は HHV-6 脳炎と呼ばれる中枢神経障害の発 症と関連する 。HHV-6 脳炎では記憶に関係する大脳辺縁系が 特に障害される 。HHV-6 脳炎発症例の死亡率は高く,生存例においても高率に記憶 障害などの後遺症を来し,QOL を著しく損なう。HHV-6 脳炎は通常明確な中枢神経症状 (記憶障害,意識障害,痙攣) の存在により診断される。 HHV-6 再活性化および HHV-6 脳炎の好発時期である移植後 2-6 週目は発熱,オピオイドの使 用などによるせん妄も高頻度である。意識障害や痙攣に至らない中枢神経症状は正確に診断さ れず,HHV-6 再活性化によるせん妄や軽度〜中等度の中枢神経症状の多くが見過ごされている 可能性がある。本前向き観察研究では移植後の HHV-6 再活性化が明確な HHV-6 脳炎発症例以外にも潜在的に 中枢神経障害を来し,患者の認知機能障害や QOL 低下に関連していると仮説のもとに,前向き 観察研究にてその検証を行う。本試験では特に HHV-6 の再活性化が高頻度であり,HHV-6 に よる中枢神経障害のリスクが高い臍帯血移植症例を対象として,移植後の HHV-6 再活性化とせ ん妄との時間的関連性,移植後 HHV-6 再活性化の経験と移植後 70 日,1 年における注意集中 力,QOL 低下との関連性について検討を行う。
倫理面での配慮
個人情報保護の方針
本研究は,人を対象とした前向きコホート研究であり文部科学省,厚生労働省によって作成され た「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成26 年12 月22 日,平成29 年2 月28 日 一部改正)に従って実施される。その実施においては各施設の施設長の承認が必要であり,その ためには,倫理委員会又はIRB (Internal Review Board,機関審査委員会)による承認を必要とす る。従って,本研究へ参加する施設は,その参加について倫理委員会又はIRBの承認を受けること とする。本研究ではプライバシーを保護するため,研究対象者の氏名,現住所の詳細,電話番号,E メール アドレス,勤務先情報,通学先情報を取得しない。医療情報は発番された症例登録番号を用いて 同定され,研究の結果が公表される場合にも研究対象者の身元のプライバシー保護に配慮する。
結果の公表について この研究によって成果が得られた場合は,国内外の学術集会・学術雑誌などで公表します。その際にも,ご提供者の個人情報が明らかになることはありません。
研究組織・共同研究機関 日本造血細胞移植学会 GVHD 以外の移植関連合併症ワーキンググループ
代表者: 緒方正男,大分大学医学部附属病院血液内科 当院の研究の主たる責任者は,京都大学医学部附属病院 血液内科 近藤 忠一です。企業や特定の営利団体からの資金提供や薬剤等の無償提供などは受けておりません
研究組織と
本研究の問い合わせ先
研究事務局: 大分大学医学部附属病院 血液内科 担当者: 緒方正男
〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1丁目1番地
TEL: 097-586-6275,FAX: 097-586-6056,E-mail: mogata@oita-u.ac.jp 当院研究実施責任医師:
(所属・職名): 京都大学附属病院 血液腫瘍内科講師
(氏名): 近藤 忠一
電話番号: 075-751-3152

臨床研究相談窓口
京都大学医学部附属病院 総務課 研究推進掛
電話番号: 075-751-4899
メールアドレス: trans@kuhp.kyoto-u.ac.jp
研究参加辞退のお申し出先 当院研究実施責任医師:
(所属・職名): 京都大学附属病院 血液腫瘍内科講師
(氏名): 近藤 忠一
電話番号: 075-751-3152
研究者から一言 本試験により HHV-6 再活性化が移植後認知機能障害や QOL 低下について独立した危険因子と なることが示された場合,移植患者における認知機能障害の明確な原因の一つを示すことにつ ながる。HHV-6 に対してはホスカルネットおよびガンシクロビルが有効であるが,これらの薬 剤によるウイルス再活性化の抑制が認知機能障害の予防につながる可能性が示される。移植後 のCancersurvivorに対し如何にQOLを保ち,社会復帰率を高めるかは重要な課題であり, 認知機能障害の解明と予防は移植患者の社会復帰を促進し,意義が大きい。
関連する研究番号と課題名 特になし。