京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学

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造血幹細胞移植後合併症の発症に関わる因子の網羅的解析

研究課題名 造血幹細胞移植後合併症の発症に関わる因子の網羅的解析
研究責任者 近藤忠一
医の倫理委員会承認番号
(承認日)
R1507(2018年4月6日承認)
研究期間 2018年4月6日より3年間
研究計画の改定と
医の倫理委員会承認時期
改定なし
研究目的 今回の研究では,機械学習を用いて,造血幹細胞移植前の様々な臨床因子を網羅的に検索し,治療関連死亡を引き起こすリスク因子を抽出することを目的とする。これまで治療関連死亡に繋がる移植後合併症の発症に関しては,原疾患やその状態,以前の化学療法歴,移植片やヒト白血球抗原(HLA)・血液型・性別の一致度,前処置,GVHD 予防法など,色々なリスク因子が提唱されてきた。しかし,いずれの研究も,多種多様な患者群から一部のコホートを抜き出した上で行われており,選択バイアスの問題がつきまとう。また,解析においては,膨大な数の移植前患者因子の中から,研究者があらかじめいくつかの項目を選択した上で統計学的な処理を行っているため,そこには各研究者の恣意性が存在する。
今回の研究においては,本邦で最大の移植データベースを用いて,全ての患者を対象に,得られる全ての背景因子を網羅的に探索して,移植後合併症のリスク因子抽出を試みる。これは,従来の人手による統計解析では困難であり,機械学習を用いて施行する。このような機械学習を用いた網羅的解析は,本分野においては世界的にもまだ稀であり,少なくとも本邦では初の試みである。前述のバイアスを排除した上でハイリスク因子が同定できれば(例えば,特定の患者群に対する移植前処置と移植片の組み合わせなど),各患者に合わせて適切な移植方法を選択することで,移植後合併症の発症抑制,さらには,治療関連死亡率の減少,移植成績向上が期待できる。
研究概要 本研究では,日本造血細胞移植学会一元化登録事業(TRUMP)データベースに登録された1992 年1 月から2015 年12 月の期間に,造血器疾患に対して初回同種造血幹細胞移植を施行された成人(16 歳以上)症例を対象とする。除外基準はない。主要評価項目は治療関連死亡率であり,副次的評価項目は感染症,GVHD,血栓性微小血管傷害症の発症率である。主な解析方法としては,統計ソフト(R やSTATA)を用いて解析を行う。機械学習においては,Alternating Decision Tree を作成し,治療関連死亡や各合併症のリスクスコアを算出する。今回の研究で新しく得られた因子に関しては,ロジスティック回帰モデルおよびFine & Gray Cox 比例ハザードモデルなどの既存の方法を用いて,結果の確認を行う。
倫理面での配慮
個人情報保護の方針
本研究に当たっては,世界医師会によるヘルシンキ宣言ならびに,人を対象とする医学系研究に関する倫理指針を遵守する。
日本造血細胞移植学会から提供されたTRUMPデータベースは研究者に提供された時点ですでに匿名化されており,移植施設や個人の同定は不可能である。また,研究の目的に関して,京都大学医学部附属病院血液・腫瘍内科のホームページで情報公開を行います。
結果の公表について この研究によって成果が得られた場合は,国内外の学術集会・学術雑誌などで公表します。その際にも,ご提供者の個人情報が明らかになることはありません。
研究組織・共同研究機関 研究の主たる責任者及び連絡先は,京都大学医学部附属病院 血液・腫瘍内科 近藤忠一,電話番号075-751-3152です。共同研究者は,新井康之 米国国立衛生研究所 博士研究員,布施香子 新潟大学大学院医歯学総合研究科 血液内分泌代謝学分野 大学院生,柴崎康彦 新潟大学大学院医歯学総合研究科 血液内分泌代謝学分野 講師,増子正義 新潟大学医歯学総合病院 高密度無菌治療部 准教授です。なお,企業や特定の営利団体からの資金提供や薬剤等の無償提供などは受けておりません
研究組織と
本研究の問い合わせ先
研究責任医師:
(所属・職名): 京都大学附属病院 血液腫瘍内科講師
(氏名): 近藤 忠一
電話番号: 075-751-3152

臨床研究相談窓口
京都大学医学部附属病院 総務課 研究推進掛
電話番号: 075-751-4899
メールアドレス: trans@kuhp.kyoto-u.ac.jp
研究参加辞退のお申し出先 研究責任医師:
(所属・職名): 京都大学附属病院 血液腫瘍内科講師
(氏名): 近藤 忠一
電話番号: 075-751-3152
研究者から一言 本研究を通じて,バイアスを排除した上でハイリスク因子が同定できれば,各患者に合わせて適切な移植方法を選択することで,移植後合併症の発症抑制,さらに
は,治療関連死亡率の減少,移植成績向上が期待できる。
関連する研究番号と課題名 特になし。
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