京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学

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稀少小児遺伝性血液疾患における原因遺伝子の探索研究

研究課題名 稀少小児遺伝性血液疾患における原因遺伝子の探索研究
研究責任者 滝田 順子
医の倫理委員会承認番号
(承認日)
G1151(2018年8月27日承認)
研究期間 2018年8月27日より2021年3月31日まで
研究計画の改定と
医の倫理委員会承認時期
改定なし
研究目的 小児遺伝性血液疾患の多くは,年間発症数が10例以下と極め て稀で,多くは致死的経過をたどる。ここ数年,原因遺伝子の 解明が進んだが,いまだ多くは原因不明である。また,再生不 良性貧血(AA)および骨髄異型成症候群(MDS)はいずれも骨 髄不全症を来たす疾患である。AAでは赤芽球に軽度の異型成が みられることがあり,低形成MDSとの鑑別が問題になるが,分子生物学的なAAおよびMDSの独立性は明らかになっていない。 免疫不全症においても造血不全を呈することがあり,両者の鑑 別が臨床上問題となる。
本研究は,厚生労働省稀少小児遺伝性血液疾患研究班(班長 名古屋大学大学院医学研究科 小島勢二 平成23年8月~)の班 研究の一環として,近年,急速な進歩を遂げるゲノム解析技術 を駆使して,原因不明の小児遺伝性血液疾患の遺伝子異常を明 らかにすることを目指す。
研究概要 厚生労働省稀少小児遺伝性血液疾患研究班(班長: 名古屋大 学大学院医学研究科 小島勢二)を中心に国内の検体提供施設 において,本研究参加の同意が得られた患児の末梢血由来の ゲノム DNA を匿名化(直ちに特定の個人を識別できないよう 加工・管理されたもの)後に,各疾患の検体集積施設に送り, 既知の原因遺伝子の探索を行う。
標的候補遺伝子数ならびに総遺伝子長が比較的短い疾患に ついては,当該領域を PCR 法にて増幅させた後,キャピラリ ーシーケンス法による変異解析を行う。解析予定領域が長い 疾患については,症例数に応じて京都大学大学院医学研究科腫瘍生物学講座で超並列(次世代)シークエンサー(Illumina 社 HiSeq)を用いたキャプチャー・シーケンスまたはプール・ シーケンスを活用し,効率的な変異解析を行う。
既知の原因遺伝子変異が認められなかった症例および分類 不能の先天性造血障害症例については,ゲノム DNA の一部が 京都大学大学院医学研究科腫瘍生物学講座に送付され, Affymetrix 社の SNP アレイによるゲノムコピー数・アレル不 均衡解析ならびに全エクソンシーケンスを行い,新規の原因 遺伝子の同定を目指す。
家族内発症が認められ,遺伝性であることが予想される症 例については,同意が得られた場合には,合わせて親族の解 析も行う。上記の探索研究により得られた新規原因遺伝子(候 補)については,孤発例や類縁疾患群について変異の有無・頻 度について解析を行う。MDS などクローン性の細胞由来の DNA が得られた場合は体細胞変異についても解析を行う。
以上より得られた情報をもとに最終解析を名古屋大学医学 部附属病院にて行う。
遺伝子解析により得られた知見を検証するために,同検体 より PHA blast,線維芽細胞,EBV-LCL,骨髄間葉系細胞など の細胞を培養し,分子生物学的解析を行う。また PNH 血球, テロメア長についても解析を行う。
倫理面での配慮
個人情報保護の方針
試験の実施については京都大学大学院医学研究科・医学部及び医学部附属病院医の倫理委員会で倫理的及び科学的な面から公正な目で審議され,承認を受け,病院長の許可を受けています。さらに,本研究では,ゲノム指針や疫学指針に則って,試料提供を 行った患者およびその家族への不利益が生じないよう努め る。遺伝子検査は,すべて研究用に付与され匿名化(直ちに特 定の個人を識別できないよう加工・管理されたもの)された 番号を用いて行われ,個人情報は保護されることから,特に 患者本人及び家族に対して不利益を生じることはない。
結果の公表について この研究によって成果が得られた場合は,国内外の学術集会・学術雑誌などで公表します。その際にも,ご提供者の個人情報が明らかになることはありません。
研究組織・共同研究機関 この研究は,主たる研究機関は,名古屋大学 小児科であり,当科は共同研究施設として参加する。当科の研究の責任者は,京都大学医学部附属病院血液・腫瘍内科 近藤忠一です。企業や特定の営利団体からの資金提供や薬剤等の無償提供などは受けておりません
研究組織と
本研究の問い合わせ先
研究代表者
高橋 義行 名古屋大学 小児科 当院研究責任医師:
(所属・職名): 京都大学附属病院 血液腫瘍内科講師
(氏名): 近藤 忠一
電話番号: 075-751-3152

臨床研究相談窓口
京都大学医学部附属病院 総務課 研究推進掛
電話番号: 075-751-4899
メールアドレス: trans@kuhp.kyoto-u.ac.jp
研究参加辞退のお申し出先 研究責任医師:
(所属・職名): 京都大学附属病院 血液腫瘍内科講師
(氏名): 近藤 忠一
電話番号: 075-751-3152
研究者から一言 本研究の対象疾患のうち,既に原因となる遺伝子が分かっ ているものについては,遺伝子検査に基づく質の高い診断が 得られることにより,疾患の状態を正確に把握し,適切な治 療法を選択できる利益が得られる。
また,本研究により,稀少小児遺伝性血液疾患における原 因遺伝子が明らかになることが期待される。
関連する研究番号と課題名 なし