京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学

研究

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強度減弱前処置による移植後シクロホスファミドを用いた血縁者間HLA半合致移植後における併用免疫抑制剤の減量および早期中止の多施設共同第II相試験(JSCT研究会Haplo17 RIC)

研究課題名 強度減弱前処置による移植後シクロホスファミドを用いた血縁者間HLA半合致移植後における併用免疫抑制剤の減量および早期中止の多施設共同第II相試験(JSCT研究会Haplo17 RIC)
研究責任者 髙折晃史,近藤忠一
医の倫理委員会承認番号(承認日) C1320(2017年11月7日承認)
研究期間 2017年11月7日より2021年3月31日まで
研究計画の改定と医の倫理委員会承認時期 改定なし
研究目的 強度減弱前処置による同種造血幹細胞移植の適応があり,かつHLA適合の血縁または非血縁のドナーを有さない血液悪性疾患患者を対象として,「リン酸フルダラビン150 mg/m2,静注ブスルファン6.4 mg/kg,全身放射線照射4 Gy」による前処置および移植後シクロホスファミドによるGVHD予防を用いた血縁者間HLA半合致移植後における併用免疫抑制剤の減量および早期中止の安全性と有効性を前向きに検討する。
本研究はJSCT研究会の多施設共同臨床試験Haplo17 RICである。
研究概要 同種造血幹細胞移植は難治性の造血器悪性疾患に対する有効な治療法であるが,HLAの適合度が高いドナーを用いた移植が実臨床でも一般的に行われる一方で,HLA半合致ドナーなどHLA適合度の低いドナーによる同種移植は依然として研究段階の域を出ない移植法である。血縁者間HLA半合致移植は親子であれば100%,同胞であれば50%の確率でHLA半合致となるため,ほぼすべての患者にドナーが得られ,さらに血縁者間移植であることから迅速な移植調整が可能である点が利点であるが,従来は重症GVHDや感染症などによる非再発死亡リスクの高さからその適応は限られていた。一方で,近年米国より報告された移植後シクロホスファミドを用いた血縁者間HLA半合致移植では,移植後day 3,day 4にシクロホスファミドを投与することで,同種抗原に反応したT細胞(alloreactive T cells)を選択的に傷害し移植片対宿主病(GVHD)を予防する一方で,同種抗原に反応しないT細胞(non-alloreactive T cells)は障害しないため,in vivoまたはex vivoによるによるT細胞除去を用いたHLA半合致移植を施行した場合に比べて移植後の免疫回復に優れ,移植関連死亡割合が減少することが期待されている。本邦においても全国多施設共同第II総試験(JSCT Haplo13試験)において,II-IV度の急性GVHDが23%,III-IVの急性GVHDが3%,慢性GVHDが15%,主要評価項目であるday 100での非再発死亡は19%(初回移植例に限れば11%)と高い安全性が示されている。GVHDの発症頻度が少ないことは望ましいことではあるが,一方で過度の免疫抑制は感染症や再発の増加につながることが危惧されるため,Haplo16試験では米国からの主要な報告に準じてMMFのday 35以降の早期中止を試み,2017年1月時点で移植後100日報告が回収された6例において急性GVHDはII度1例,III度0例,IV度0例であり明らかな重症急性GVHDの増加は認められていない。
以上のように先行試験(Haplo13,Haplo14 MAC,Haplo16 MAC)においてGVHDの発症頻度が少ないことは望ましいことではあるが,一方で過度の免疫抑制は感染症や再発の増加につながることが危惧される。免疫抑制剤を可能な限り減量することができれば感染症などによる非再発死亡の低下および再発率の低下が期待されうることから,本試験ではさらなる免疫抑制剤の減量・早期中止を試みることとした。本研究において「リン酸フルダラビン150 mg/m2,静注ブスルファン6.4 mg/kg,全身放射線照射4 Gy」による強度減弱前処置および移植後シクロホスファミド,タクロリムス,ミコフェノール酸モフェチルを用いたGVHD予防を用いた血縁者間HLA半合致移植の安全性と有効性が明らかになれば,HLA適合の血縁または非血縁のドナーを有さない場合の移植方法の1つとして本プロトコール治療を位置付けることができるとともに,併用免疫抑制剤の減量および早期中止により,再発率の低下,感染症の減少などが期待できる。
倫理面での配慮
個人情報保護の方針
試験の実施については京都大学大学院医学研究科・医学部及び医学部附属病院医の倫理委員会で倫理的及び科学的な面から公正な目で審議され,承認を受け,病院長の許可を受けています。さらに,この研究は,人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(厚生労働省)を守って行います。登録患者の氏名は参加施設からデータセンターへ知らされることはない。登録患者の同定や照会は,登録時に発行される登録番号,患者イニシャル,生年月日,カルテ番号を用いて行われる。患者名など,第三者が当該施設の職員やデータベースへの不正アクセスを介さずに直接患者を識別できる情報が,データセンターのデータベースに登録されることはない。
結果の公表について この研究によって成果が得られた場合は,国内外の学術集会・学術雑誌などで公表します。その際にも,ご提供者の個人情報が明らかになることはありません。
研究組織・共同研究機関 この研究は,主たる研究機関は,北海道大学血液内科であり,当科は共同研究施設として参加する。当科の研究の責任者は,京都大学医学部附属病院血液・腫瘍内科近藤忠一です。企業や特定の営利団体からの資金提供や薬剤等の無償提供などは受けておりません
研究組織と
本研究の問い合わせ先
研究代表者
豊嶋崇徳北海道大学 血液内科

当院研究責任医師
所属・職名: 京都大学附属病院血液腫瘍内科講師
氏名: 近藤忠一
電話番号: 075-751-3152

臨床研究相談窓口
京都大学医学部附属病院総務課研究推進掛
電話番号: 075-751-4899
メールアドレス: trans@kuhp.kyoto-u.ac.jp
研究参加辞退のお申し出先 研究責任医師
所属・職名: 京都大学附属病院血液腫瘍内科講師
氏名: 近藤忠一
電話番号: 075-751-3152
研究者から一言 同種造血幹細胞移植は血液悪性疾患患者に治癒をもたらす可能性がある治療法であるが,適切なドナーがいなくては行うことができない。本研究において「リン酸フルダラビン150 mg/m2,静注ブスルファン6.4 mg/kg,全身放射線照射4 Gy」による強度減弱前処置および移植後シクロホスファミド,タクロリムス,ミコフェノール酸モフェチルを用いたGVHD予防を用いた血縁者間HLA半合致移植の安全性と有効性が明らかになれば,HLA適合の血縁または非血縁のドナーを有さない場合の移植方法の1つとして本プロトコール治療を位置付けることができるとともに,併用免疫抑制剤の減量および早期中止により,再発率の低下,感染症の減少などが期待できる。
関連する研究番号と課題名 C1190強度減弱前処置による移植後シクロホスファミドを用いた血縁者間HLA半合致移植の多施設共同第II相試験(JSCT研究会Haplo16 RIC)