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京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学

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造血幹細胞移植

一人ひとりに最適な造血幹細胞移植を

京都大学医学部附属病院血液内科では、通常の薬物療法だけでは治癒が困難な血液腫瘍(白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫など)や、再生不良性貧血をはじめとする骨髄不全疾患に対し、造血幹細胞移植を行っています。

当科では、以下の多岐にわたる移植方法・ドナーソースに対応できる高度な診療体制を整えています。

  • 移植方法:骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植、HLA半合致(ハプロ)移植、自家末梢血幹細胞移植など
  • ドナーソース:血縁ドナー(HLA半合致血縁ドナー含む)、骨髄バンクドナー、臍帯血など

患者さんの病気の型や状態、年齢、全身状態、臓器機能、ドナー候補の状況などを総合的に評価し、「患者さんごとに最も適した移植方法」を迅速に選択・実施いたします。

また、日本造血・免疫細胞療法学会認定の造血細胞移植コーディネーター(HCTC)を配置し、患者さんやご家族、ドナーの方々の不安に寄り添いながら、安全性と倫理性に十分配慮した医療を提供しています。

地域の関連病院やご紹介元の先生方とも移植前から移植後まで緊密に連携し、切れ目のない一貫した診療を大切にしています。

※最新の移植件数については、「診療実績・治療実績」ページをご覧ください。

70歳以上の患者さんにも広がる移植の可能性

造血幹細胞移植技術や感染症対策、GVHD予防、支持療法の進歩により、近年では高齢の患者さんにも移植を検討できる機会が広がっています。

当科では、暦年齢のみを理由に移植適応から除外するのではなく、患者さんの身体機能、臓器機能、併存疾患、病状、生活背景、ご本人・ご家族の希望などを総合的に評価しています。現在は70歳以上の患者さんに対する移植にも積極的に取り組んでおり、概ね75歳までを一つの目安として、期待される利益と合併症のリスクを慎重に検討しています。

前処置の強度、ドナー選択、GVHD予防、感染症対策、早期リハビリテーション、栄養管理などを患者さんごとに調整し、高齢の患者さんにおいても安全性と良好な治療成績の両立を目指しています。

高度な感染症診断と充実した支持療法

造血幹細胞移植後の免疫力が低下する時期を安全に乗り越えるためには、感染症の早期発見と迅速な治療が欠かせません。

当院では、移植後にウイルス感染症が疑われる患者さんに対し、先進医療である「多項目迅速ウイルスPCR法によるウイルス感染症の早期診断」を実施しています。

  • 13種類のウイルスを同時検出:リアルタイムPCR法により、移植後に発症し得る感染症の原因となる13種類のウイルスを同時に増幅・検出します。
  • 早期診断と治療への活用:発熱、咳・呼吸困難、黄疸・肝障害、出血性膀胱炎、意識障害、発疹、下痢・血便・腹痛などがみられた場合に、臨床症状、身体所見、画像検査、各種検体の検査結果を総合的に評価し、適切な治療につなげます。

血液内科のみならず、小児科、検査部、感染制御部などが一体となり、大学病院ならではの高度な検査・診療ネットワークで早期診断と適切な治療を支えます。

多職種で支える移植医療

造血幹細胞移植を成功に導くためには、移植技術そのものだけでなく、身体機能、栄養、服薬管理、メンタルケア、退院後の生活設計に至るまで、包括的なサポートが必要です。

当科では、血液内科医を中心に、各分野の専門職が連携する多職種チーム医療を実践しています。

  • チーム構成:血液内科医、移植医療や血液疾患に精通した看護師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、管理栄養士、臨床心理士、造血細胞移植コーディネーター(HCTC)など
  • 院内連携:必要に応じて、小児科、感染制御部、循環器内科、呼吸器内科、腎臓内科、消化器内科、皮膚科、歯科口腔外科、リハビリテーション科などと緊密に連携

定期的な多職種カンファレンスを通じて全員で患者さんの状態や目標を共有し、「病気を治すこと」はもちろん、「治療中も質の高い生活(QOL)を保ち、安心して社会復帰・日常生活へ戻ること」を共通のゴールとして支え続けます。

感染対策に配慮した病棟環境と早期リハビリテーション

当科の病棟は、全体が高度な空気清浄管理(クリーン環境)のもとで運用されています。そのため、白血球が減少している時期であっても、無理のない範囲で病室を出て、廊下での歩行やリハビリテーションを行うことが可能です。

同種造血幹細胞移植は、高い空気清浄度を備えた個室で実施します。

厳重な感染予防を行いながらも、過度な安静による体力・筋力の低下を防ぐため、理学療法士による早期リハビリテーション、管理栄養士による細やかな栄養指導、薬剤師による服薬支援などを組み合わせ、移植前から退院後を見据えた手厚いケアを提供しています。

小児科と連携した切れ目のない移行期医療

小児期に血液疾患の治療や移植を受けた患者さんが、大人になっても安心して診療を受け続けられるよう、当科では小児科と連携した「移行期医療」に力を入れています。

小児期からの治療経緯や移植歴、晩期合併症、成長・発達段階、進学や就労といった生活背景を両科でしっかりと共有し、患者さんご自身の理解度に合わせて段階的に成人診療科へ移行します。

単に担当科を変えるだけでなく、患者さんご自身が自らのからだや病気を理解し、主体的に健康管理に向き合えるよう、多職種で段階的に自立を支援します。

移植後長期フォローアップ(LTFU)外来・ワクチン外来

退院後も、慢性GVHD、感染症、生活習慣病、二次がん、内分泌障害などの晩期合併症に注意しながら、長期的かつきめ細かな診療と支援を行っています。

  • LTFU外来・ワクチン外来:担当医師と日本造血・免疫細胞療法学会認定のLTFU外来看護師が連携し、晩期合併症の早期発見、生活上の相談、自己管理の支援、移植後に必要となるワクチン接種などを継続的に行います。
  • 地域連携:ご紹介元の主治医や地域の医療機関としっかりと情報を共有し、患者さんが住み慣れた地域で安心して自分らしい生活を送れるようサポートします。

診療の進歩を目指す先進的な臨床研究

日々の診療で生じた課題を研究へとつなげ、その成果を未来の患者さんの治療へと還元することは、大学病院としての重要な使命です。

当科では、関連病院とのネットワークを生かした多施設共同研究をはじめ、全国の移植登録データを活用した解析、さらには欧米の研究機関との国際共同研究を積極的に推進しています。

  • 主な研究テーマ:造血幹細胞移植法の最適化、GVHDの予防・治療、感染症対策、HLA・ドナー選択、微小残存病変(MRD)の評価、血液がんゲノム、新規細胞療法など

院内の各部門(細胞療法センター、検査部、小児科、薬剤部、リハビリテーション部等)とも協働し、最新の知見と技術を一人ひとりの患者さんの日々の診療へ還元できるよう取り組んでいます。

※研究の詳細については、「臨床研究グループ」および「研究業績」ページをご覧ください。

地域医療への貢献と専門人材の育成

京都府の「造血幹細胞移植推進地域拠点病院」として、地域全体の移植医療の質の向上と体制強化に努めています。

地域の医療機関からの移植適応に関するご相談や患者さんのご紹介、移植後の逆紹介・長期フォローアップの連携をスムーズに行うとともに、医療従事者向けのセミナーや研修会を定期開催し、地域全体の医療体制の発展と人材育成に貢献しています。

当院での造血幹細胞移植をご希望の方へ

当院での造血幹細胞移植に関する相談・受診をご希望の場合は、現在受診されている医療機関の主治医にご相談ください。紹介状をご用意いただき、医療機関から京都大学医学部附属病院の地域医療連携室を通じて、血液内科(移植責任医師:諫田淳也)へご紹介ください。これまでの治療経過や病状を確認し、移植を含む治療方針を検討します。

セカンドオピニオンをご希望の場合は、通常の受診とは申込方法が異なりますので、京都大学医学部附属病院「セカンドオピニオン外来」の案内をご確認ください。


病棟内にあるInBody測定器とリハビリ用エアロバイク

NASA規格クラス100の病室

移植患者様に向けたオリエンテーション資料

病棟内にあるInBody測定器と
リハビリ用エアロバイク

NASA規格クラス100の病室

移植患者様に向けた
オリエンテーション資料

移植責任医師:諫田淳也