京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学

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血液情報伝達研究

高折 晃史(教授)、小林 正行(日本バプテスト病院)、阪本 貴士(助教)
櫻田 麻希(キャリア支援診療医)、永田 佳代子(研究員)

 成人T細胞白血病(Adult T-cell Leukemia; ATL)は当科より報告された疾患であり、国内外の研究グループによって様々な研究が行われています。造血幹細胞移植や抗体治療など有効な治療法が開発されてきましたが、十分な治療成績の向上が得られているとは言えず、新規治療薬の開発が強く求められています。私たちは、DNA修復異常をターゲットとした薬剤がATL細胞に効果があることを見出し、ATL細胞におけるDNA修復機構の破綻とその機序を報告してきました(Tada K, et al. Sci Adv. 2015, Takiuchi Y, et al. Sci Rep. 2017)。ATLにおけるDNA修復異常は、一つの経路だけではなく複数の経路に異常をきたしていることが分かってきました。これら複合的な異常の結果、ゲノム不安定性を来していると考えられます。

 ATLは、HTLV-1ウイルス感染者の一部に、長年のlatencyを経たのちに発症します。ATLの発症機序、特にHTLV-1キャリアからATL発症に進展するスイッチは何なのか、そのメカニズムは十分に解明されていません。ATL発症に至るまでの長年のlatencyのなかで、私たちが報告してきたDNA修復機構の破綻が一定の役割を果たしていると考えられます。私たちは、その理解をさらに深めると同時に、協調してATL発症の引き金になる分子生物学的イベントは何なのかを解明することを目標としています。そして、ATL細胞がもつ生物学的特性を利用した新規治療戦略の開発を模索しています。

 当研究室では、国内外の専門家と共同研究を積極的に行っています。

 新たに阪本をスタッフに加え、急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia; AML)に関する研究も開始する予定です。

 DNA修復、シグナル伝達、またATLやAMLなどの造血器腫瘍に興味のある先生方、一緒に研究をしましょう。相談、見学はいつでも歓迎します。興味を持った方はご連絡ください。

代表的な業績

  • Kawata T, Tada K, Kobayashi M, Sakamoto T, Takiuchi Y, Iwai F, Sakurada M, Hishizawa M, Shirakawa K, Shindo K, Sato H, Takaori-Kondo A.   Dual inhibition of the mTORC1 and mTORC2 signaling pathways is a promising therapeutic target for adult T-cell leukemia.Cancer Sci. 109(1):103-111, 2018.
  • Takiuchi Y, Kobayashi M, Tada K, Iwai F, Sakurada M, Hirabayashi S, Nagata K, Shirakawa K, Shindo K, Yasunaga JI, Murakawa Y, Rajapakse V, Pommier Y, Matsuoka M, Takaori-Kondo A.   HTLV-1 bZIP factor suppresses TDP1 expression through inhibition of NRF-1 in adult T-cell leukemia.Sci Rep.  7(1):12849, 2017.
  • Tada K, Kobayashi M, Takiuchi Y, Iwai F, Sakamoto T, Nagata K, Shinohara M, Io K, Shirakawa K, Hishizawa M, Shindo K, Kadowaki N, Hirota K, Yamamoto J, Iwai S, Sasanuma H, Takeda S, Takaori-Kondo A.   Abacavir, an anti-HIV-1 drug, targets TDP1-deficient adult T cell leukemia.   Sci Adv. 1(3):e1400203, 2015.
  • Sakamoto T, Kobayashi M, Tada K, Shinohara M, Io K, Nagata K, Iwai F, Takiuchi Y, Arai Y, Yamashita K, Shindo K, Kadowaki N, Koyanagi Y, Takaori-Kondo A.   CKIP-1 is an intrinsic negative regulator of T-cell activation through an interaction with CARMA1.   PLoS One. 9(1):e85762, 2014.